
印鑑は様々なシーンで使われるため、誰でも用途に応じて数本は保管しているでしょう。基本的に重要度の高い印鑑は複製を防ぐために複雑な書体で手彫りによる作成が主流ですが、現在は機械を用いた彫刻技術が向上したこともあり、手彫りでは難しいチタンなどの印鑑も流通しています。
こちらでは、印鑑として使い勝手の良いチタンについて見ていきます。
印材としてのチタン
チタンは印材としての歴史はそれほど古くありませんが、印鑑として使うときに非常に優れた性質を持っている素材です。元々インプラントや人工骨として使われるほど人体になじみの良い素材であり、金属アレルギーを持つ人でも使えるため、アクセサリーとしても重宝されています。
腐食や高温に強く、変質しにくい特徴を持っているため、印鑑として使用する場合にも使い勝手が良いと言えます。強度があり、頻繁に使用する場合でも欠けたり割れたりすることがほとんどなく、変質して印影が変わることも滅多にないため、様々な用途の印鑑に使うことができます。
ただし、強度があるとは言っても落としたり、ぶつけたりした場合には破損する可能性がありますので、取り扱いは他の印材で作られたものと同じように丁寧に管理しましょう。金属にしては軽量ですが、柘植や象牙、水牛などの素材と比べると程よい重みがあり、押しやすいです。
朱肉との馴染みは良く、くっきりと鮮やかな印影になることから使いやすい素材と言えます。チタンは、見た目においても他の印材と全く異なる印象を与えます。着色ができますので様々な色合いから選べますが、いずれも金属ならではの光沢や硬質さが感じられます。
ただ、加工によって見た印象は全く異なり、鏡面仕上げにしているものは艶があって滑らかですが、ブラスト加工を施しているとすりガラスのような艶消しの仕上がりになり、指紋がつきにくいです。また、不規則な模様が浮き出すような加工がされているもの、印鑑の上部を示す印としてスワロフスキーや金属球を埋め込んでいるものなど、バリエーションも豊かです。
実印として使う場合
実印は遺言書の作成や不動産取引などの高額な契約など、特に重要な書類に押印するための印鑑です。居住している自治体の役所に登録することで実印として使うことができ、その証明として印鑑証明書を発行してもらうこともできます。
自治体によって印鑑のサイズや印材の指定がありますが、一般的にはサイズは13.5~18mm、壊れやすい素材を避けるようにすれば問題ありません。実印のサイズはある程度幅がありますが、男性はやや大きめ、女性はやや小さめで作ることがほとんどです。
また、名字もしくは氏名を彫った印鑑を登録しますが、他の印鑑と混同するのを防ぐため、そして悪用を避けるためにフルネームで作成するのが望ましいと言われています。なお、書体は一般的に印鑑に使われるものならば特に制限はありませんが、重要な局面で使うことが多く、複製されないように注意すべき印鑑であることから、複雑で複製が困難な篆書体、印相体、古印体などが好まれます。
チタンの印鑑は機械で彫刻しますが、書体や氏名が同じ状態で複数注文しても、それぞれ異なる仕上がりになるようになっていますので心配不要です。
銀行印として使う場合

銀行印は銀行や証券会社の口座を開設する際に必要な印鑑で、財産に直結する重要なものです。押印する機会が多いことから、実印や認印と区別して作成するのが望ましいとされています。上から落ちてくるお金を取りこぼさないように、横書きにするケースが多く見られます。
銀行印も複製や悪用されると大きな被害を招きかねないため、篆書体や印相体、古印体などの複雑な書体を用いるのが理想です。名字だけでなく下の名前でも登録できるため、結婚して改姓する可能性が高い女性の場合は最初から下の名前で作成・登録するのも良いでしょう。
サイズの目安としては、認印より大きく実印より小さい程度です。具体的には12~15mm程度のサイズで作ると、他の印鑑と混同することなく使えますので便利です。銀行印は鮮明な印影を求められることが多いため、印影が綺麗に出やすいチタンは相性が良い素材です。
認印として使う場合
認印は、普段使いとして書類の決裁や各種書類で印鑑が必要とされる場合、荷物の受け取りなど幅広い場面で使われています。そのため、複雑な書体よりも誰の印鑑なのかがわかりやすい方が好まれており、楷書体や隷書体、古印体などで作るのが一般的です。
また、名字のみで作成するため、似通った印影の印鑑が見つかることも少なくありません。認印は複製や悪用のリスクはほとんどありませんが、印鑑の中でも最も使用頻度が高いため、実印や銀行印として使うのは避けたいですし、混同しないように管理することも大切です。
既製品やカラフルなデザインの安価なものもたくさんありますが、持ち歩いたり、1日に何度も使ったりすることもありますので、軽量で耐久性のあるチタンで作成しておくと、長く使うことができます。
通販で購入するときのポイント

チタンの印鑑は実店舗で購入することもできますが、通販で取り寄せることも可能です。通販の場合、表面仕上げとサイズ、書体、彫る文字を指定して注文するという流れになります。印鑑の用途に応じて適切なサイズや書体などが案内されていますので、そちらを参考にすると良いでしょう。
文字はアルファベットや旧字体にも対応しているため、特殊な文字の場合は別途店舗に連絡する必要があります。書体に関してサンプルは表示されていますが、実際にどのような仕上がりになるのかは想像しかできません。そのため、多くのショップで注文を受けてから実際に印影のサンプルを連絡し、注文者が印影を見てOKを出したら作成に取り掛かるようになっています。
事前確認のサービスは別途連絡が必要なこともありますので、注文時に確認しておきましょう。また通販の場合、印鑑ケースが別売りになっていることも少なくありません。必要があれば別途注文しましょう。
長く使いたいときにチタンはおすすめ
このように、チタンの印鑑は耐久性や使い心地などの面から見ても、長期的に使うのに適しています。シンプルなデザインで長く使うことができますので、実印や銀行印のように滅多に作ることがない印鑑の素材としてもおすすめです。
通販でも購入することができますので、興味がある人はサイズや書体を選んで注文してみてはいかがでしょうか。